外国語学習の「伸び方」

外国語を学び始めたとき、多くの人が「努力した分だけ、実力は右肩上がりに伸びていく」と考えがちです。
毎日コツコツ勉強していれば、その成果が少しずつ積み重なり、グラフにするときれいな直線になる。
そう信じるのは自然なことです。
しかし、実際に学習を続けてみると、必ずしもそう単純ではないことに気づきます。

実は、外国語の上達曲線は「一直線」ではなく、長いあいだ停滞したように見える平行線が続き、あるときに突然「ぴょこん」と伸びる。
その後また停滞期に入り、しばらく経つと再び「ぴょこん」と上がる…この繰り返しなのです。
経験のある方なら、「勉強しているのに上達を実感できない」「急に聞き取れるようになった瞬間があった」という感覚を思い出せるのではないでしょうか。

この「ぴょこん」と伸びる瞬間には、いくつかの条件があります。
大きなポイントは「短期間に集中すること」と「これまでと違ったやり方を取り入れること」です。
例えば、普段は文法問題ばかり解いていた人が、1週間集中的に音読練習をしたり、オンラインで会話練習をしてみたりすると、それまで積み重ねてきた知識が一気につながり、理解の回路が太くなるのです。
脳科学的に説明すれば、神経回路の結びつきが強化され、情報の処理速度が格段に速くなる、ということです。

ですから逆に言えば、停滞期そのものは決して「無駄」ではありません。
むしろ、その時期に基礎を積み重ねることで、次の飛躍の土台が整っているのです。
見えないところで力が蓄積されており、きっかけが訪れた瞬間に大きく伸びる準備が整っているわけです。
この伸びない時期に私たちは自信を失ってしまいがちですが、焦る必要はありません。
停滞期は誰にでも訪れる自然なプロセスであり、その後の成長の前触れなのです。

外国語学習を長く続けている人たちは、この「停滞と飛躍のリズム」を理解しています。
そして、停滞期を前向きに受け止めながら、自分なりの刺激を取り入れる工夫をしています。
例えば、テキスト学習が中心の人は会話を試してみる、会話中心の人は多読をしてみるなど、一定期間集中して学習方法を少し変えることで、次の「ぴょこん」を引き出すスイッチになります。

まとめると、外国語学習は「努力=直線的な伸び」ではなく、「停滞期と飛躍の繰り返し」です。
そして、飛躍を起こすきっかけは、短期間の集中と学習方法の変化にあります。
今、もしあなたが「真面目に継続しているのに伸びない」と感じているなら、それは停滞期にいるだけ。
次の飛躍のチャンスを迎えるための大切な時期だと考えてみてください。

外国語学習はマラソンのように長い道のりですが、このリズムを知っていると心が軽くなります。
停滞期を恐れず、ときに新しい刺激を取り入れながら学習を続けていきましょう。

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