ベトナム語が「話せる」と聞いて、あなたはどんなレベルを思い浮かべますか?
おそらく、ネイティブ並みにペラペラ話せる、いわゆる“達人”レベルの人を想像するのではないでしょうか。YouTubeなどで流ちょうにベトナム語を話す日本人を見かけると、「自分もあんなふうになりたい!」と思ってしまいますよね。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。
「話せる」のハードル、上げすぎていませんか?
どうしても私たちは、そんな雲の上の存在のような人たちを「話せる」の基準にしてしまいがちです。
でも、それって本当に必要なのでしょうか?
たとえば、こんな人がいたとします。
- 発音はぜんぜんネイティブっぽくない
- 文法もよく聞けば(よく聞かなくても)ちょっとおかしい
- 流ちょうさにはほど遠い
それでも、しっかり意思疎通はできていて、伝えたいことはちゃんと伝わっている。
日常生活や仕事でも、意外と何とかなっている…というレベルです。
このレベルでも、立派に「話せる」と胸を張っていいと、私は思うのです。
本田圭佑選手に学ぶ「通じる英語」の強さ
ここで、サッカー日本代表の本田圭佑選手のエピソードをご紹介します。
彼はオランダのクラブに所属していた若手時代は、流ちょうとは言えない、むしろ「めちゃくちゃ」な英語でインタビューを受けていました。
でも、自信をもって自分の考えを伝える姿は堂々としており、周囲からは“カイザー(皇帝)”と称されるほどの存在感を放っていました。
中でも有名なのが、彼がインタビューで言ったこの一言です。
“I have a confidence.”
文法的には誤りですが、彼の目力と話しぶりには強い説得力がありました。
伝えたいことがしっかり伝わっていて、むしろこの不完全さが、彼の人間味や本気度を際立たせていたのです。
つまり、文法や発音が完璧でなくても、「自信を持って伝える力」こそが大事なのです。これは、ベトナム語を話すときにもまったく同じことが言えます。
達人レベルになるには、かなりの覚悟が必要
ベトナム語学習を始める人の多くが、「話せるようになりたい」と思っているはずです。
そして、YouTubeの達人たちに、自分の未来を重ねることもあるでしょう。
ですが、残念ながら現実は厳しい。
以下の条件を満たさなければ、99.9%の人は“達人レベル”には到達できません。
- 毎日2時間以上、ベトナム語の勉強ができる
- それを2〜3年、ほぼ休まず継続できる
- 日常的にベトナム語を使う環境がある
これを聞いて「無理かも…」と思った方、正直でよろしいです(笑)。
本当に、達人レベルが必要ですか?
そもそも、あなたがベトナム語を学ぶ理由はなんですか?
- 職場にベトナム人がいるから、少しでも話してみたい
- 仕事でベトナムに数年滞在するから、生活に困らない程度に話したい
このような現実的な目標を持っている人が、大多数ではないでしょうか?
であれば、達人レベルを目指す必要はまったくありません。
もちろん、目指したいなら、目指せるなら、目指せばいい。
でも、そのために費やす時間・労力・お金に、本当に見合っているかはよく考えるべきです。
目指すべき現実的なゴール
私たちがまず目指すべきは、こんなレベルです。
- 流ちょうじゃないけどベトナム語を口にできる
- 発音にクセはあるけど通じる
- 文法はあやしいけど意思は伝わる
- 実際、日常生活や仕事であんがい困らない
ここが、多くの学習者にとっての“現実的なゴール”です。
そして、そのレベルに達してから、「もっと上手くなりたい」「ネイティブみたいに話したい」と思うようになったら、初めて達人たちを目指せばいいのです。
最後に
「話せる」の定義を自分に合った形で見直せば、ベトナム語学習はもっと楽しく、もっと続けやすくなります。
完璧を求めなくて大丈夫。
まずは、伝わる喜びをしっかり味わいましょう!