英語学習とベトナム語学習。
一見すると、どちらも「外国語を学ぶ」という点で共通していますが、その学習プロセスには大きな違いがあります。
特に、多くの日本人にとって、英語は多かれ少なかれ中学・高校の6年間で触れてきた言語であるのに対し、ベトナム語は文字通りゼロからの出発となる点が決定的に異なります。
英語学習の「既知」と「慣れ」
私たちは、中学に入学すると「Hello」から始まり、be動詞、一般動詞、過去形、未来形…と、文法を体系的に学びます。
洋楽を聴いたり、ハリウッド映画を観たりする中で、英語の音やリズム、文化に無意識のうちに触れてきました。
文法は時に難解でも、アルファベットは身近であり、多くの単語はすでに何らかの形で目にしたり耳にしたりしていることでしょう。
テストのために暗記したり、苦戦しながらも長文読解に取り組んだりする中で、「英語とはこういうものだ」という漠然としたイメージが形成されています。
良くも悪くも、「英語学習」という枠組みや学習方法は、私たちにとってある程度の「既知」であり「慣れ」の対象なのです。
ベトナム語学習の「未知」と「発見」
一方、ベトナム語はどうでしょうか。
多くの日本人にとって、ベトナム語は「未知」そのものです。
文字はラテンアルファベットを使用していますが、声調記号が複雑に付加されており、発音も日本語や英語とは全く異なります。
文法も英語とは似て異なるロジックで成り立っていますし、語彙に至っては全てが新しい響きに聞こえるでしょう。まさに「A」から学ぶ世界です。
この「ゼロからの出発」は、時に途方もなく感じられるかもしれません。
しかし、この「未知」こそが、ベトナム語学習の魅力でもあり、英語学習では得られなかった新たな発見をもたらします。
「ゼロ」がもたらす学びのメリット
- 純粋な吸収力: 既存の知識や先入観がない分、言語の構造や音、文化を純粋に吸収できます。英語学習で培った「こうあるべき」という固定概念から解放され、柔軟な思考で言語に向き合えるのです。
- 成功体験の積み重ね: 最初は挨拶一つでも感動があります。昨日できなかった発音が今日はできた、簡単な会話が通じた、といった小さな成功体験が積み重なり、学習意欲を強く刺激します。
- 異文化理解の深化: ベトナム語を学ぶことは、ベトナムという国の文化、歴史、人々の考え方をより深く理解することに直結します。言語を通じて、今まで知らなかった世界が広がる感覚は、非常にエキサイティングです。
- 自分なりの学習法確立: 既存の学習法にとらわれず、自分にとって最適な学習アプローチを模索し、確立する機会にもなります。
ベトナム語学習は、私たちに「完全にゼロから新しいものを学ぶ」という、忘れかけていた新鮮な感覚を思い出させてくれます。
それは、ただ単に新しい言語を習得するだけでなく、物事への取り組み方、思考の枠組み、そして世界の捉え方そのものに、新たな視点を与えてくれる貴重な経験となるでしょう。
あなたも、ベトナム語という「未知」の世界へ、一歩踏み出してみませんか?