日本語の中に東京弁と大阪弁という大きな違いがあるように、ベトナム語にもハノイを中心とする「北部ベトナム語」と、ホーチミンを中心とする「南部ベトナム語」という、無視できない大きな違いが存在します。
(中部ベトナム語もありますが、ここでは割愛します)
「何だ、こんな簡単なことを!」愕然とした南部での日々
私はかつて、東京の語学スクールで「標準的」とされる北部ベトナム語をしっかりと学び、ホーチミン市に移住しました。
しかし、そこで直面したのは、想像以上の「言語の壁」でした。
現地で話される南部ベトナム語が、とにかく聞き取れないのです。
特に、声調(トーン)や子音の発音、さらには使用する単語の一部までが北部と異なるため、頭の中で学んだ北部ベトナム語とのギャップが埋まりません。
一生懸命に聞いても全く意味が分からず、会話も滞ってばかり…。
しかし、相手に書いてもらうと、驚くことがよくありました。
「何だ、こんな簡単なことを言っていたのか?!」
愕然とするほどの簡単な単語や表現であったにもかかわらず、南部独特の発音や、声調の変化によって、私の耳には全く別の音として響いていたのです。
この経験から痛感したのは、ホーチミン市への赴任や、会話する相手がベトナム南部出身者である場合、事前に南部発音に慣れておくことの重要性です。
👂南部発音克服のための具体的対策
では、この「南部ベトナム語の壁」を乗り越えるためには、どのような対策が効果的なのでしょうか?
1. 徹底した「聞き取り」と「音読」の練習
まずは、南部特有の音に耳を慣らすことが肝心です。
以前ご紹介したようなテキスト読み上げサービス「音読さん」などを活用し、発音を「南部」に設定して(「音声」タブのHoaiMyが南部女性音声・NamMinhが南部男性音声)、繰り返し聞き取り練習を行うのが非常に効果的です。
文字と音を一致させる訓練を重ねましょう。
南部ベトナム語は、北部と比べて子音が「緩く」発音されたり、一部の声調が混同されたりする傾向があります。
この「緩さ」や「変化」を体で覚えることが、聞き取り能力向上への近道となります。
2. 系統立てた学習で体系的に理解する
単なる聞き流しだけでなく、発音規則や頻出単語の南北差を体系的に学ぶことも重要です。
- 声調の違い(例:南部では声調が5つに変化する傾向がある)
- 子音の発音の違い(例:二重母音が短母音のように発音されたり、異なる音になったりする)
- 南北で異なる単語(例:「傘」「帽子」など、日常品の一部)
このような知識を事前に整理しておくことで、現地での会話が格段に楽になります。
弊社の「南部ベトナム赴任準備講座」では、まさにこの南部特有の発音と表現に特化し、赴任後すぐに使える実践的なスキルを系統立てて学んでいただけます。
ホーチミンでのビジネスを成功させたい、現地のコミュニケーションを円滑にしたいとお考えの方は、ぜひこの機会に南部ベトナム語の準備を始めてみてはいかがでしょうか。
言葉の壁を乗り越えれば、ベトナムでの生活や仕事はより豊かで楽しいものになるはずです!